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トヨタの残業代保証制度は、妙案だけど朝三暮四の不安が残る新制度だ。

トヨタ自動車の事務系・技術系社員を対象にした残業代保証制度は、会社の負担を増やすこと無く、ワーク・ライフ・バランスを改善できる可能性があります。

 

事務系社員の生産性向上を図れる可能性があるこの制度は、他の企業も是非見習うべきだと僕は思います。

 

 

トヨタ自動車労働組合は14日開催した定期大会で、自由な働き方を促す新人事制度を承認した。トヨタ自動車はこれを受け、12月に新制度を導入する。残業時間に関係なく月17万円の手当を一律支給した上で、実際の残業時間が一律の手当分を超えた場合には残業代を追加支給する。柔軟な働き方により生産性の向上と人材育成を図るのが狙い。

残業代保証の新制度、12月導入=柔軟な働き方促進-トヨタ:時事ドットコム

 

 

対象社員は、勤続10年以上の事務系技術系の課長クラス約7800人となっています。労働時間に関係なく、月45時間の残業代に相当する、17万円のみなし労働手当を支給することになっています。

 

社員:ムダ残業が減る+インセンティブ

今までは、残業をすることで残業時間が発生していました。その為、残業をしていても、まあお金がもらえるから良いかという、アルバイト気分のような感覚で残業をしていた人もいると思います。

 

今回の制度によって、45時間の残業までは、残業手当が変わらないため、だらだらと残業するよりも、仕事を素早く終わらせて帰ることが、社員にとってのメリットになります。

 

残業をする人は、大きく別けて3つに分けることが出来ると思います。

 

1.仕事の量が多くて、しかたなく残業している人

2.生活コストが給料より高く、生活を維持するために残業している人

3.1と2の中間層。とりあえず残業をしている人

 

今回の制度の導入で、2と3の層は明らかにメリットを受ける事になります。

 

トヨタ自動車の社員の中にどれ位こういう層がいるのかはわかりませんが、よく言われる、「2-6-2の法則」からすると、対象となる7,800人の社員の内、8割-約6,000人相当は、この制度の導入で残業時間が減ると考えられるでしょう。

 

また、対象社員全員に言えることですが、営業職技術職共に、営業職のようなインセンティブ(労働刺激策)がしずらい職種になります。営業職だったら、歩合制度による報奨金が出る塩ともありますが、事務系社員でそういうのは難しいです。

 

今回の、残業代保証制度を採用することで、仕事を早く終わらせることがそのまま社員のメリットとして現れます。事務系社員に対するインセンティブとしては、良くできた制度だと考えられます。

 

会社:コスト変わらず残業時間減らせる

トヨタ自動車は、今回の制度を採用することで、社員の平均残業時間を確実に減らすことが出来るでしょう。それは、先に書いた、生活のために残業する社員や、とりあえず残業する社員が定時で上がるようになるからです。

 

多分、トヨタ自動車の平均残業時間は、45時間程度ではすまないのでしょう。なので、今回の制度を採用したところで、残業代保証制度費用と今までの残業手当が入れ替わるだけで、トヨタ自動車は今回の制度で、追加でコストが発生することは無いと考えられます。

 

トヨタ自動車は、追加コストを負担すること無く、社員の平均残業時間を減らすことが出来るという妙案を出したのではないでしょうか。

 

それでも、帰れない人はいる

一方で、今回の制度によって何もメリットを受けられない社員がいます。先に書いた仕事量が圧倒的に多くて、定時以内に終わらせる事が出来ずにいる社員の労働には、何の影響もありません。

 

この社員にとっては、今回の制度になっても、労働時間も、手に入る残業手当も変化はありません。この社員にとっては欲しいのは、仕事を代わってくれる人材か、仕事の割り振りを変えてくれる管理者です。

 

朝三暮四は、猿がエサを朝に3つ、夕方に4つで不満を持ったため、なら朝に4つ、夕方に3つならどうかと提案した所、納得したという中国の故事です。

 

今回のトヨタ自動車の制度は、コストを変えずに、社員のインセンティブを引き出すという妙案だと考えられます。


一方で、本当に長時間労働にさらされているような、ほんとに助けが必要な社員に届くような制度では無いと思います。