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損益分岐点って何?全社員が知ってほしい限界利益の計算方法と便利な使い方

損益分岐点は、企業の業績を分析するための方法の一つになります。

 

費用(原価と販管費)を固定費と変動費に分けることで、どれだけの売上を上げれば、固定費をペイすることが出来る(=黒字化する)か知るために使用されます。

 

損益分岐点を改善するための施策は、「費用を減らす」かそれとも「売上を増やす」の2つに分かれます。会計で使われる分析方法になりますが、経理だけでなく、実際に売上を上げる営業部の人も知っておいて損のない考え方になります。

 

 

損益分岐点=収支トントン。

損益分岐点をWikipediaで調べると以下のように説明されています。

 

損益分岐点(そんえきぶんきてん、英: break-even point, BEP)は、管理会計上の概念の一つ。

売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高または販売数量を指す。前者を損益分岐点売上高といい、後者を損益分岐点販売数量という。単に損益分岐点と言った場合、管理会計では前者を指し、経営工学では後者を指すことが多い。

売上高が損益分岐点以下に留まれば損失が生じ、それ以上になれば利益が生じる。このことから採算点とも呼ばれる。

 損益分岐点 - Wikipedia

 

Wikipediaには損益分岐点売上高と損益分岐点販売数量の2種類があると書かれていますが、この両者は、ほぼほぼ同じものだと考えて間違いありません。

 

損益分岐点を数式に直すと、以下のようになります。

 

・売上高=変動費+固定費

 

売上高と変動費はともに”販売数量×単価”で変動するため、

 

・販売数量×一個あたりの販売価格=販売数量×一個あたりの変動費+固定費

→販売数量(一個あたりの販売価格ー一個あたりの変動費)=固定費

 

このようになります。

 

企業の損益(一般的には営業損益)が赤字でも黒字でもなく、収支トントンになる売上高(数量)のことを、損益分岐点と言います。

 

損益分岐点売上高の計算方法

損益分岐点の公式は以下の通りとなります。

 

・損益分岐点= 固定費 /{1-(変動費 / 売上高)}

 

固定費とは、売上に変動することなく毎月発生する費用のことを指します。社員の給料やオフィス店舗の家賃などは売上に応じて増減することがない費用。こういったものを固定費といいます。

 

逆に変動費は、売上に連動して増減する費用のことを指します。製品を作るための原材料費や製品を発送するための発送運賃代などは、売上が増えればその分増加するコストです。売上に応じて費用が変動するため、変動費といいます。

 

下線の部分(1-(変動費 / 売上高))は、限界利益率{(売上高-変動費)/売上高}に読み替えられます。

 

最近は高い食材にあまり利益を乗せないで提供する、いわゆる原価率の高いレストランなどが話題になりますが、そこでいう原価率の反対が限界利益率になります。

 

原価率は売上に対するコストの割合を示しており、1,000円の料理に対して材料費が700円かかっていたとすれば、原価率は0.7になります。逆に1,000円の料理を提供することでお店は300円の利益を得る事ができます。この場合、限界利益率は0.3になります。

 

原価率と限界利益率はともに売上に対するそれぞれの割合のため、2つの和は必ず1になります。そのため、原価率が高ければ限界利益率は低く、原価率が低ければ限界利益率は高くなります。

 

仮に限界利益率が0.3で固定費が600万円の場合、収支トントンとなる売上(損益分岐点売上高)は1,500万円となります。

 

・損益分岐点=600万円(固定費) / 0.3(限界利益率)
  ⇛600万円×10/3

  ⇛2,000万円

 

損益分岐点販売数量の計算方法

売上高は、”販売数量×一個あたりの販売価格”、変動費は、”販売数量×一個あたりの原材料代”と読み替えることが出来るため、収支トントンとなる販売数量(損益分岐点販売数量)を求めることも出来ます。

 

仮に、りんごの仕入れ販売をしている企業の損益分岐点販売数量を示すとするならば、以下の通りになります。

 

・(販売数量×りんごの販売価格)=(販売数量×りんごの仕入れ価格)+固定費

 

損益分岐点販売数量を出そうとすると

 

・販売数量(りんごの販売価格-りんごの仕入れ価格)=固定費

・販売数量=固定費/(りんごの販売価格-りんごの仕入れ価格)

 

となり、固定費をりんごが一つ売れることによる利益(限界利益単価)で割ることで、りんごを何個以上売ることができれば固定費と帳尻が合うのかという、損益分岐点販売数量を計算することが出来ます。

 

りんごの販売価格を100円、仕入れ価格を50円、人件費を500,000円とすると、損益分岐点販売数量は、10,000個となります。

 

・販売数量=500,000(固定費) / 50(りんご一個の利益)

・販売数量=10,000

 

実際の仕事上での損益分岐点の使い方

企業の業績分析のために使われる損益分岐点ですが、図にすると以下のようになります。

 

 

損益分岐点よりも右側に売上(≒限界利益)があることで、企業は利益を生むことが出来ます。仮に自社の売上が、恒常的に損益分岐点よりも左側(損失サイド)にあるのなら、早急に右側に持ってくるよう対処しなければなりません。もしくはより利益を埋めるように改善することも必要です。

 

改善方法としてメジャーなのは、費用を減らすことが挙げられます。その際には、

 

1.固定費を下げることで現状の限界利益で利益を生める状態にする。

2.限界利益率を上げることで限界利益を増やす。

 

の2つのパターンが検討できます。

 

固定費を下げることが出来れば、図のように損益分岐点が左にスライドします。そうなると、売上が変わらなくても利益をいままでよりも増やす事が出来ます。

 

 

固定費の削減は効果的ですが、施策としては人件費削減のための人員整理(リストラ)や工場の移転などのドラスティックな対応が多いため、慎重な判断が必要となります。

 

もう一つの方法である限界利益率を上げることが出来れば、図のように限界利益線の角度がより鋭角になります。そうなるとより少ない売上でも利益を出せる構造になります。

 

 

限界利益率を上げるには、販売価格を上げるか製造コストを下げる必要があります。品質を保ちながらもより安い原材料で製造したり、最新の設備を導入して材料の歩留まりを良くすることで、限界利益率を向上させる事が出来ます。

 

営業に知ってほしい損益分岐点の使い方

損益分岐点では一般的に費用を減らす方法で改善策を探し出しますが、当然、売上を増やす事が出来れば、その分だけ企業の利益は改善します。その際に、売上に直結する営業職にはぜひ損益分岐点の考え方を知ってほしいと思います。

 

例えば、取り扱っている商品がトレンドを過ぎてしまい、これ以上の市場が伸びない場合を考えてみましょう。今あるシェアを守り抜くか、それともさらなる攻勢に出て残りの市場を奪いに行くのか、もしくは潔く市場から撤退するのか。会社は選択しなければなりません。

 

そういった際に営業部が損益分岐点を知っていることで、そのトレンドを過ぎた商品の稼ぐ力を迅速に考えることが出来ます。

 

まだまだ稼ぐ力が十分に残っているのなら、多少の値下げ合戦になったとしてもその市場で生き残るべきでしょう。もし仮に、いま時点で損益分岐点ギリギリのラインを保っているのなら、今後先細る事業からの撤退も考慮に入れる必要があるでしょう。

 

 

いずれにしても、外部との付き合いがあり市場の流れを一番早く体感できる営業部が、自社の損益構造を理解しておくことで、これから市場で起こりうる自体にも冷静に対処することが出来るようになります。営業職にはぜひ損益分岐点の考え方を知ってほしいと思います。

損益分岐点のまとめ

損益分岐点とはある製品の売上と費用(変動費+固定費)がちょうど釣り合い、収支トントンになるポイントのことである。

 

これよりも売上が少なければ、その製品は赤字になり売上が多ければ黒字になる。損益分岐点を知っていることで、売上がどれだけ減ってしまうと危ないのかといった安全度を測ることができる。

 

損益分岐点を改善するためには、売上を増やすか費用を減らすかの2択がある。費用を減らす場合には固定費の方が効果は高いが、方法として工場閉鎖や人員整理などの過激なものが多い。変動費を減らして限界利益を上げる方法がオーソドックスな施策になる。

 

損益分岐点を知ることは、自分の会社の損益構造を学ぶことにつながる。

 

たとえば食料品などの、1つあたりの限界利益が少なくて、販売する量が多い会社は、固定費を下げることよりも、限界利益率を上げる事や販売数量を増やす(シェアを伸ばす)ことに力を入れた方がいいでしょう。

 

また、すでに製造能力いっぱいまで生産を行っている企業であるならば、売上を増やすことはできないため、コストダウンや、それこそ固定費の削減を検討するべきかもしれません。

 

自社がどうやって利益を上げているのかということを理解して仕事をする事でより自分の会社を理解する事が出来るようになるでしょう。