僕が就職する前に不安だったのは、仕事の具体的な感じが掴めないということだった。経理というと数字を使う仕事と言った事や簿記の知識、税務の知識を必要としているという程度しかわからなかったからだ。
なんと行っても僕の家は祖父も父も自営業なので、働くというのは私服で車に乗って店に行くというものだったからだ。社会人というとサザエさんや課長島耕作、サラリーマン金太郎の世界しかしらなかった。
ちなみに、僕が入社してはじめての仕事は、ある事業会社の会社の債権管理と連結決算業務だった。入社してから一年ほど伝票一つ切らない生活だったため、僕の持っていた経理のイメージとは全く違って戸惑ったのは覚えている。この後に事業会社に配属となり、毎日伝票を切るようになった。
就職サイトなどでは、経理部員の仕事として、箇条書き的に月次決算やら連結決算と書いていますが、なかなかそれだけでは経理業務のイメージは固まらないと思う。
同じ経理でも持ち株会社か事業会社で忙しい時期は違う
まず大前提として話しておきたいのが、経理の仕事はその配属された場所で全く違うということだ。
仮にホールディングの持ち株会社に配属されたとすれば、毎日伝票を切ったり月次決算を締めたりとかする業務はほぼない。連結決算、会計士の対応、有価証券報告書の作成などが主な仕事になる。
この一方で、事業会社に配属されたとなれば、経費の精算や月次の決算業務、来年度の予算作成などこれぞ経理の仕事といった業務を行うことになるだろう。また大規模が会社になれば仕事がどんどん細分化されるので、大企業の工場経理に配属されると、固定資産管理だけやらされるという可能性もある。(簡単そうに思えるかもしれないが、固定資産の管理はかなり大変な仕事です。)
事業会社は毎月そこそこ忙しい
事業会社の仕事を説明する。
企業は、本社機能だけを持つ持株会社と事業を持つ事業会社に分れている。事業会社には、物を作る部署や物を売る部署があって、それを管理する部署として経理部があります。
事業会社で経理が行う仕事は、売り上げの集計やそれに伴うコストの計算(原価計算)、月々の経費の精算などがあり、月初から初めてだいたい2週間程度で月次の決算を集計します。そのあと1週間ぐらいは細かい業務をこなして、4周目になると月末の支払いなどの処理で慌ただしくなります。
また上場企業の場合、年に4回ある四半期決算月は通常の月次の決算に加えて四半期の特殊な会計処理や税金費用の計算も行うため通常月よりも忙しくなります。
それに加えて最低年に一回は予算の作成もあります。企業が3月決算だとすれば、1月の中旬ぐらいから予算を作成し始めます。月次決算も並行して行うため、この時期は更に大変になります。予算の作成が難航すると。徹夜仕事になる場合もあるでしょう。
内容だけ書いていると意外と仕事が多いように思えますが、最近はパソコンを使った自動処理も多く、単純な作業量としての負担は、そこまで大きくはありません。毎月の残業時間は10時間前後といったところでしょうか。予算の作成が入るともうちょっと多くなりますが、それでもそこまで大変ではないと個人的には持っています。
いつもは暇だが四半期が忙しい本社
持ち株会社の経理の仕事で毎月の仕事というのはほとんどありません。
事業会社から上がってくる資料を取りまとめ本社の役員の方のために資料を作成したり、事業会社の決算を分析したりするのが主な仕事になります。事業会社から上がってきた稟議書などをまとめる仕事もありますが、分量的には多くありません。通常月に残業するということは殆どないでしょう。
本社経理の繁忙期は四半期決算月になります。この月は上場会社であれば決算短信を作成し、四半期報告書並びに有価証券報告書を作成する必要があるため、とても忙しくなります。年度決算の月はこれに加えて招集通知も作成しなければなりませんので、さらに忙しくなります。
作成に加えて会計士の監査も対応しなければならないため、自身のペースで仕事ができないのが辛いところです。入社した頃は終電過ぎまで会計士の監査が終わらずもちろん監査を受ける側の経理部員もそれに合わせて待機する必要があります。朝方まで監査が終わらなくて会議室の床で雑魚寝したこともあります。
本社経理部員だったときには年度決算月に残業時間が100時間を超えたときもありました。最近はそこまで詰めて決算を行っているようではないようですが、それでも十分気抜けない仕事ではあると思います。
本社経理は月次決算時にはほとんど仕事がありませんが、四半期および年度の決算はかなり大変な仕事になります。
両方共にそれぞれ忙しさがあるが、休みが取りやすく自分のペースで仕事が出来る
本社経理は毎月の決算は暇ですが、四半期にはかなりの残業時間が必要となります。一方で事業会社の経理は毎月そこそこ忙しいですが、100時間の残業のように、ものすごく以上忙しくなるということはありません。
どちらも一長一短でどちらが良い悪いというのはあまりないように僕は思っています。
一つとして現場の経験を積みたいのでしたら、工場を見て回ったり現場の人と話すことの多い事業会社の方がいいでしょう。最新の会計を学びたようでしたら本社経理に配属した方が勉強する機会というのは多いと思います。
どちらにしても忙しい時期というのは決まっているので、自分のペースで休みを取ったりすることは十分可能でしょう、そういう意味で仕事とプライベートとのメリハリをつけられる、経理の仕事というのはとてもバランスが取れている業務ではないかと思います。