こんにちは、ヒロタカです。最近、本は電子書籍で購入しています。
しかし、久しぶりに紙の本で手元に置いて何度も読み返したい名著に出会いました。
山田ズーニー氏の『伝わる・揺さぶる!文章を書く』。
-内容紹介-
お願い、お詫び、議事録など、私たちは日々、文章を書いている。どんな小さなメモにも、そこには読み手がいて、目指す結果がある。ではそのような場面で、どうしたら誤解されずに自分の思いを伝え、読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
著者は長年、高校生の小論文指導に携わり、現在は糸井重里氏のサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』で「大人のための小論文教室」を連載し人気を博している。本書では「意見」「望む結果」「論点」「読み手」「自分の立場」「論拠」「根本思想」の七つの視点から、よい文章を書くための戦略をアドバイス。「自分の意見が見つからないときは、小さな問いを立ててみる」「テーマと論点の違いを意識する」などのユニークなノウハウを、具体的な文例を紹介しながら、解説していく。単なる文章のテクニックをこえ、自分の頭で考え他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、コミュニケーションの本質に迫る一冊である。
この本は、単純なテクニック本-文章の書き方指導の本-ではありませんでした。
これは、ものを書くという行為、その本質を教えてくれる本でした。
常に意識しなければならないのは、「問い」。
著者はベネッセで小論文通信教育に関わっていたので、小論文指導が主な題材になっています。わかり易い言葉で、文章を書くという素晴らしさと難しさを説明してくれます。
高校の小論文指導と言うと、「書き方の型」や「全体が800文字なら全体の構成は~」などのテクニック論が主になっていると思うが、本質はそこでは無い。
著者は、文章には書き手と題材(小論文ならその資料文)そして読み手(大学入試なら大学教授)の三方が存在すると説明する。
書き手は、読み手が出した題材を読んで、読み手がどういう文章を求めて題材を出したのか考えなければ行けない。大事なのは、自分らしいオリジナルな考えを出すことだ。
オリジナルな考えというと、奇抜なアイディアが求められていると考えるのは間違いだ。そもそも人間は一人ひとりが違うのだから、同じ「問い」を出されてもそれぞれの答えは違うはず。そうならないのは、自分で考えていないからだ。
考える方法がわかれば文章は書ける。
暗記・詰め込みに偏っている日本の教育では、自分で考えるという機会はひどく少ない。試験にかかれている問いに”答える”ことが重要になる。
しかし、文を書くという事は、考えることだ。考えるということは、自分で「問い」を立てることだ。文章を書く時、「自分」「テーマ」「読者」の少なくとも3つの視点から「問い」を考える必要がある。
・少なくとも、読んだ読者にあなたはどうなってほしいのか?
・選んだテーマの、なにがあなたの琴線に触れたのか?
・あなたの立場でその文章を書く理由はなんなのか?
いい文章、実力以上の文章を書く必要は無い。ただ、あなたの頭の中の考えを正確に伝えなければいけない。あなた以下の言葉にしてはいけない。
人に伝わる。人を揺さぶる文章を目指そう。
伝わる文章の7つの要件(問い)
-意見:あなたが一番言いたいことは何か?
-望む結果:だれが、どうなることを目指すのか?
-論点:あなたの問題意識はどこに向かっているのか?
-読み手:読者はどんな人か?
-自分の立場:読者から見た時、あなたはどんな立場にいるのか?
-論拠:相手が納得(同意)する根拠はあるか?
-根本思想:あなたの根本にある思いは何か?
常に意識しなければならないのは「問い」。問いを発見することだ。
自分の立場を発見するということは、世界の中の小さな自分を発見し、その活かし方を研究することだ。
言葉は、不自由な道具である。
自分という存在が関わることで、相手の新たな引き出しを開けるのだ。
「問い」を発見する能力は、一生の宝ものになる。
ブログなどのSNSや仕事のメールやプレゼン用の書類など、文章を書く頻度はこれから今以上に増えていくことになります。
どれだけの人が、自分の考えを正確に伝えられているでしょうか。
自分の頭で考えられない人が多いとは思いません。ただ、自分の考えをうまく言語化して人に伝える、それが正しく出来る人はひどく少ないように感じます。
自分の頭のなかに描いているイメージを言語化し、論理立てて順番に話す。その考える力をつけるために必要なのは「問い」なのです。
日々自分に「問い」かけて、それに答えていく。
詰め込み教育で成長した僕達が更に成長するためには、この力を身につける必要があります。