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「良い社会・良い会社」を作るには、「良い消費者」が必要な話

こんにちは、ヒロタカです。この前読んだアブラハム・マズローの「完全なる経営」にとても良い話が書かれていました。マズローは心理学者ですが、有名な自己実現について数々の著作を残しています。

 

 

アブラハム・マズローとは

マズローはアメリカの心理学者です。「自己実現」と「欲求段階説」という五段階のピラミッドになった構図が有名ですが、実はマズロー自身は、ピラミッドの構図などを書いたことはありません。後の誰かが、マズローの説を説明する際に作りそれから広まっていったようです。

 

さて、マズローは、人間の自己実現について会社経営の面から「完全なる経営」を書いています。同時代の作家ピーター・ドラッカーの「現代の経営」に刺激されて書かれているので、一部ではドラッカーの説に賛同し一部には疑問を呈しています。

 

今回は、同書の中の「進歩的ないいセールスパーソンと顧客」で書かれている「心理的に健康な良い顧客」についてのが特に気になった。

 

要約すると以下の通りです。

 

企業は永続する、というのが現代企業の前提にある。その為、企業の社員、特にセールスパーソンは顧客と長い付き合いをすることになる。

 

短期的な利益を求めるのならば、セールスパーソンは顧客に平気で嘘をついて不当な利益を得ようとするが、永続的に利益を得ようと思うならば顧客に誠実な対応をしてWin-Winな関係を気づくことが重要である。

 

また、「心理的に健康な良い顧客」ならば、誠実な対応をするセールスパーソンとだけ付き合うようになる。結果として誠実なセールスパーソンを育てている会社、いわゆる「良い会社」のみが社会に残るようになる。

 

 

自己実現社会では、利他と利己が同一になる

「心理的に健康な良い顧客」しか消費者がいなければ、セールスパーソン及び会社は事故の利益を最大化することを考えるのではなくて、「顧客のため」になにが出来るのかを考える事になります。

 

会社は自己の利益を最大化することを求められる一方で、社会のために何を提供できるかを考えさせられます。

 

これは一種の矛盾で、たとえば、フェアトレードコーヒーなどは、「フェアトレード最低価格」と言った価格保証を行って発展途上国の生産者保護に努めています。

 

ですが、価格変動の激しいコーヒー豆をそのように購入するその分だけ、コーヒー豆を購入した会社に残る利益は減ってしまうのです。

 

ですが、マズローの提唱する「心理的に健康な良い顧客」(D欲求が満たされており、B欲求を求めている)ならば、コーヒー豆を購入する際に、単純な価格差だけでなく買うことによる社会貢献も考えてコーヒー豆を購入することでしょう。

 

ただ、現代に至ってもその域にすべての消費者は達っているわけではありません。フェアトレードコーヒーなどの生産者の生活までも考えた商品が生まれる一方で、新興国での不当労働がなくなることはありません。

 

これは、企業の利益優先主義とともに、安くて良いだけの製品を望む消費者の声が一定数あるということでしょう。マズローがこの本を書いたのは50年も前の話です。現代でも最先端で通用する考えをマズローが50年前に書いていたというのは驚異的です。同時に、50年、半世紀経っても人間は進歩しないというが理解出来てしまいます。