こんにちは、ヒロタカです。
先週、社内のリーダー研修を受講しました。
外部講師を招いた本格的な講習でした。
二日間に渡る濃密な講習でした。
新しい見識を持っててとても有意義な講習だと思いました。
同時に、「これを会社の仕事に使うことは出来ない……」と直感しました。
- コンフリクト・マネジメントについて
- (知識として)使える点その1.問題の再焦点化という考え方
- (会社で)使えない点その1.クロージング段階(合意形成)方法がダサい
- (会社で)使えない点その2.上司からの指令を実行するという立ち位置
- (会社で)使えない点その3.研修を受けているのが中堅社員以下しかいない
- (個人的な)理想のチームマネジメント
コンフリクト・マネジメントについて
今回の研修の内容はコンフリクト・マネジメントについてでした。
コンフリクト・マネジメントとは、企業の問題解決時に発生する様々な対立(対個人、対部署など)
を争うのではなく、妥協することでもなく、互いに尊重協力しあい最適な解決策を模索していく方法論です。
上司や部下との衝突であれ、他部門との軋轢であれ、人がコンフリクトに直面したときにとる態度は次の五つに分類されます。
A : 競争 ―― 自己主張・非協力。パワーや権威で圧倒し、相手に自分の意見を強制する
B : 受容 ―― 非自己主張・協力。自分の利益や要求より相手のそれを優先して解決する
C : 妥協 ―― 双方が要求水準を下げて、自分の利益・主張の部分的な実現を目指す
D : 回避 ―― 非自己主張・非協力。対立する状況そのものを回避し、解決を先送りする
E : 協調 ―― 自己主張・協力。対立点を明確にしつつ、お互いの利益を尊重する建設的な議論で解決する
(知識として)使える点その1.問題の再焦点化という考え方
コンフリクト・マネジメントの考え方として、
問題解決までに3つのステップを踏むことになります。
アプローチ(歩み寄り)-ソリューション(問題の再焦点化)-クロージング(合意形成)
の三段階のステップで問題を解決していくのです。
今回の研修でソリューション時の問題の再焦点化(関連部署の意見見識を共有することで、一部署単位では見ることができなかった問題の焦点を測ることが出来るようになる)に関しては面白いと思いました。
憶測ですが、コンサルティング会社ってこういう仕事をやっているんだろうなと思いました。
1.依頼主の依頼(商品のりんごをたくさん売りたい)を受ける
→2.各部署から情報を集める(りんごは足が速いから遠方に売れない)
→3.依頼を再構成(遠方に売るために保存の効くりんごジュースを作ろう)
上記の場合、結果としてりんごの販売は伸びたかもしれませんが、
依頼主の構想とは別のところに行っていますね。
実際にこういう事例ありそう。
(会社で)使えない点その1.クロージング段階(合意形成)方法がダサい
コンフリクト・マネジメントではとことん対立を解消します。
したがって無難だろうが過激だろうが対立の起こらない方法を採択します。
その際に使われるのが、多数決。
僕が研修を受けていて感じたのは、コンフリクト・マネジメントでは、
集団的知性は個人の才能を常に上回る
ということを前提として考えられている。という事でした。
もちろん、集団はある面では個人よりも有能だと僕も思います。
チームワークによって人は、個人では行えないような成果を出すことが出来ます。
ただ、それはあくまでも成果物(結果)に関して出会って、
方法(解決手段の決定)に関してはその限りではないと僕は思います。
これに関してはゲーム理論で使われる囚人のジレンマが一番相応しい例になるかと思います。
ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる
部署ごとの偏見を消して、情報を共有したとしても、
苦労を被るのは誰だって嫌なものです。
問題解決に多数の意見を取り入れた結果、成果が少ないが同時に苦労も少ない、
そういった無難な方法を採択する結果にならないと、誰が言い切れるでしょうか。
問題解決方法の採択に関して合意形成を募るよりも
トップの独断のほうが僕はベターだと思います。
(会社で)使えない点その2.上司からの指令を実行するという立ち位置
コンフリクト・マネジメントでは、上司からの依頼(問題提起)を如何に解決していくかが主題になります。
つまり、その時点で解決する実行者は、問題を解消したい当事者はない。
上司からの依頼といっても所詮は他人事です。
問題意識の差は明らかに現れるでしょう。
もちろん、出来る限り依頼を解決しようと直接依頼を受けた
方々(つまり我々)は奮闘するでしょう。
一方で綿密な調査の結果、解消方法が判明しました。
その対象となった部署(例:生産の歩留まりが悪い→生産管理部)は明らかに反発します。
なぜなら当事者意識がないから。
日系企業の部署ごとの縄張り意識はそうとうなものです。
カイゼンなど、部署内の自助努力はともかく他部署からの指摘を
素直に受け止めることが出来るとは僕は思いません。
反発、ないし消極的な賛成に留まることになると思います。
(会社で)使えない点その3.研修を受けているのが中堅社員以下しかいない
そもそもの話として、コンフリクト・マネジメントを行おうと思ったら
対象部署社員全てにこの研修を受けさせるしか無く、
それは無理だから、「これを会社の仕事に使うことは出来ない……」
と僕は思ったのです。
そもそもコンフリクト・マネジメントを行う際にはマインドセットで一つの事を思い浮かべます。
イラーショナル・ビリーフ(思い込み)から
ラーショナル・ビリーフ(偏見を捨てた論理的思考)へ
この考え方はコンフリクト・マネジメントの前提となっています。
この考え方で仮に問題解決の際に槍玉に挙げられても冷静に対処しなければなりません。
逆にいえば、この考え方を共有してない人々が集まったとしても、
コンフリクト・マネジメントを行うことは出来ないのです。
僕のような、まだまだ下っ端の社員にばかり研修を受けさせても、
それより上の上司たちがこの考え方を理解していない。
だとしたら、問題解決の方法を実施することは不可能でしょう。
(個人的な)理想のチームマネジメント
個人的な意見として、すごく優秀な人はいます。
僕の前の上司なんかもそんな人の一人でした。
解決方法の斬新さ、役員への説得の仕方はわかりやすく。
でも、その人も肉体は人間なのでひとりで出来ることは限られています。
チーム一人ひとりが同じだけの能力を持つということはありえないので
それぞれが得意な分野で活躍するべきでしょう。
つまり、意思決定に関しては一部のごく優秀な人に判断を任せるのです。
アプローチ~ソリューションに関してはチームで行い、
クロージングにおいては合意形成せずにトップ(もしくはトップ代理)による
独断とする。
これがベストの解決手段だと僕は思います。
集団から何かが生まれるということは極めてまれです。
創造は個人の孤独の中から生まれることが大半を占めています。
芸術家や発明家は、制作作業自体は複数人かもしれませんが、
発想に関しては個人の能力に寄るところが大きいでしょう。
ならば、問題の解決にしても同じことではないでしょうか。