ひとつでは少なすぎる。

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売上の計上の仕方(出荷基準・検収基準・工事進行基準)


こんにちは、ヒロタカです。この前は売掛金の話を30分で書いてみようとしました。結局30分では終わらなかったです。しかも腕も指も痛くなりました。

 

 

その反省をいかして、今回は35分で書けないかチャレンジしてみようと思います。
内容はあまり吟味していないのですが、前回が売掛金と残高確認について簡単に説明したので、今回は売上について説明してみようと思います。簿記などでは物を売るだけで売上が計上されていますが、実務ではそれは出来ません。なぜなら物を売るという行為には、

 

1.客先からの注文が届く。
2.注文された品を届ける(出荷する)。
3.出荷した品物がきちんと客先へ届く。
4.品物の代金を請求し受け取る。

 

の4つの行為が必要だからです。

また、その前提として、その取引自体が、企業の本業であることが定款に明記されていることが重要になります。

 

売上とは?

売上(英:sales)(あるいは「売上高」とも)とは、企業会計で用いられる用語・概念で、収益の分類のひとつで、当該企業の本業によって得た収益のことである。例えば、本業の商品やサービスによる収益のこと。[1] 「売上」は「営業外収益」と区別・対置されうる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%B2%E4%B8%8A%E9%AB%98>

 

ここで書かれているように、売上の要因のひとつに、企業の本業で得た収益であるということが書かれています。ここは割りと重要な観点です。たとえば、これが本業以外で得た収益でも売上に立てることが出来るとなると、会計上の売上の意味がまったくなりなります。たとえば最近話題の東芝ですが、製造業である東芝が、パソコン事業や原子力事業で失った損失を挽回するために、メディカル関係の事業や半導体事業といった部門を売却したとします。

 

半導体部門を会社分割して売却する場合、売上の考え方が、収益をあげたもの全てだった場合は、それを売上に上げることが出来てしまいます。売上は会社の規模感を測る大事な部分なので、本業外の収入で売上が上下してしまうことは、その企業を適正に評価できなくなってしまいます。その為、通常は事業売却や固定資産(工場の売却など)は特別損益項目へ計上されるのが一般的です。

 

ちなみに特別損益項目とは、本業でない取引かつ年間の取引で恒常的に発生しない取引で発生した損益を計上する項目です。逆に本業でないが年間で恒常的に発生する取引は営業外損益項目へ計上されます。例としては、預貯金や株券から発生する利息や配当金、外貨建て取引で発生する為替差損益などは営業外損益項目となります。

 

売上の計上のしかた

 

上にも書きましたが、ものを売るという行為はお客様が望んでいるものを提供した時に初めて実現します。その為、通常の取引で売上を計上するときは、

 

1.客先からの注文が届く。
2.注文された品を届ける(出荷する)
3.出荷した品物がきちんと客先へ届く。
4.品物の代金を請求し受け取る。

 

の工程が必要になります。ただし、1~4を全て一度に行えるのは小売などのお客様を相手にした商売ぐらいしかないでしょう。その小売業ですらクレジットカードなどを使われた場合は、代金を受け取るのは一二ヶ月先になることでしょう。一般的な企業の場合、2までの工程を終えた時点で売上を計上します。これを出荷基準と言います。また、3.の客先へ届いてから売上を計上する計上方法は検収基準と呼ばれます。また、ゼネコンなどの発注から完成までの期間が長い取引を行う企業の場合は、工事の進行度合いに合わせて見積もった売上を段々と計上していく工事進行基準があります。ただ、工事進行基準はマンション工事や土木建設などの建設業で使われるやり方なのであまり一般的ではありません。

 

実務で売上を上げる場合は2までの工程で売上を計上する出荷基準がほとんどでしょう。

出荷基準の場合は、得意先から注文書が届き、それを受けて品物を用意します。そしてその品物を宅配便などで出荷した時に売上が計上されます。発注書と運送会社などの発送伝票が揃った時点で売上を計上するのです。

3.の品物が客先へと届いたという報告を受けた時点で売上を計上する方法を検収基準と言います。検収基準の場合は、出荷した後、客先から品物の検品が終わった時点で検収しましたよ、という検収報告書が送られてきます。その検収報告書に書かれた日付で売上を計上するのです。

 

出荷基準を利用した利益操作方法

出荷基準は日本では一般的に使われている売上計上方法です。ですが、IFRSでは出荷基準の売上の計上を認めていません。なぜなら、出荷基準の場合は月末期末の押し込み販売が可能だからです。

 

月末間近に出荷をしても、企業は売上を計上することが出来ます。一方で購入した得意先に届くのは一日二日期間が空きます。そうすると、売った企業は出荷基準で今月に売上を計上したのに、注文した企業は検収基準で翌月に仕入れを計上することになるのです。売上と仕入れの月がズレてしまうのです。これが期末だった場合、利益操作目的やノルマ達成目的で翌月分の注文を前倒し出荷して売上のかさ増しをすることも可能なのです。また、購入側に届くのは翌月になるので得意先も困ることはありません。

 

IFRSでは出荷基準は認められていない、けど

双方WINWINの取引ですが、これは企業の実態を損ねているという観点からIFRSでは売上の出荷基準を認めていません。これはとても正しい考え方です。ただ一方で考えないと行けないのは、検収基準はとても煩雑な作業と言うことです。もともと対面販売がなくなり、商流と物流にずれが出た時点で取引方法は煩雑になっています。その中で出来る限り取引を簡略化しようと考えられたのが出荷基準での売上計上になります。


もちろん売上を正確にカウントすることは大事なことですが、現状の企業のやり方では検収基準での売上計上を行ったとしてもIFRSの考えている結果とは違うことになるだろうと考えられます。

 

40分も掛かりました。

では以上