日本音楽著作権協会(ジャスラック)が新しい収益源を見つけたようです。
ヤマハや河合楽器製作所などが手がける音楽教室での演奏について、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、著作権料を徴収する方針を固めた。徴収額は年間10億~20億円と推計。教室側は反発しており、文化庁長官による裁定やJASRACによる訴訟にもつれ込む可能性もある。
JASRACが音楽教室からも著作権料徴収へ 年間10~20億と推計、ヤマハなど「ハフィントンポスト」
JASRACとはどういう団体なのか?
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の英語表記は、「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」です。 表記にありますようにJASRACは、国内の作詞者(Author)、作曲者(Composer)、音楽出版者(Publisher)などの権利者から著作権の管理委託を受けるとともに、海外の著作権管理団体とお互いのレパートリーを管理し合う契約を結んでいます。
JASRACは作詞者、作曲者、音楽出版社などから権利を全部ないしは一部の権利を譲り受け、当人たちに変わって著作権の管理を行うことを主な業務としています。
要するに、本人たちに成り代わって著作権の管理(使用許諾、使用料徴収)や
無断利用者の監視(警告、使用差止め、使用料徴収)をしている団体ですね。
著作権では、CDのコピーや不正ダウンロードだけでなく、
公然の前で音楽を配信することにも著作権が発生します。
(上演権及び演奏権)
第二二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
なぜ、JASRACが音楽教室から著作権料をとれるのか?
上記の上映権及び演奏権は、
営利企業が「公衆」に直接見せまたは聞かせる事を目的として
上演することで発生します。
JASRACはこの公衆(法律では不特定多数の意味です)に音楽教室の生徒が含まれると
判断して、ヤマハや河合楽器から著作権料を徴収するつもりのようです。
つまり、
営利目的か? = 毎月のレッスン代を教室が受け取っている(営利目的)
公衆はいるか? = レッスンを受けている生徒が公衆(不特定多数)
直接見せたり聞かせたりしているか? = 先生が生徒に教えている時に、絶対に演奏していない、ということはないはず(悪魔の証明)
という判断のようです。
なかなか無理矢理な理屈のように思えますけど。。。
ただ、やはりこの理屈は音楽教室側も受け入れがたいようで、ヤマハは河合楽器と共同で連絡協議会を立ち上げて、今後の対応を検討する方針のようです。
関係者側から困惑の意見も。。。
飲食店やイベントでのBGMやカラオケ演奏に著作権使用料がかかるのは
まだ理解できますが、音楽教室という”演奏技術や音楽の楽しさを学ぶ為の施設”
をそれと同じように考えるのはどうにも無理やり感を覚えますね。
また、これによって教室の料金に著作権使用料が上乗せされて
生徒の負担増→生徒数減少
などとなってしまうと、
JASRACの掲げる音楽文化の普及発展に反することになるのではないでしょうか。
著作権保護の名目で迷走しているように思えます。
2017年2月3日 タイトル修正、リンク追記。